これは「言ってはいけない -残酷すぎる真実」

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なかなかキャッチ-なタイトル。

そして、2017年新書大賞。

人の身体的特徴や能力、性格といったものは、果たして先天的なものか後天的なものか、

という誰もが密かに気にする問題を真正面から取り上げる。

 

  

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「わたし」という個性は、親から受け継ぐ「遺伝」と、各人が育つ「環境」で説明できる。おそらく多くの人は、身長といった身体的特徴はある程度、「遺伝」的要素があるにしても、性格といった「こころ」にかかわるものや、才能といった知的能力にかかわるものは、「環境」側面が大きいのではないかと思うだろう。そして、人種や性別、容姿といったものは、個々人の「こころ」や「才能」といったものとは関係がないと。

本書は、脳科学や遺伝学の研究を引用しながら、多く人が「もしかしたらそうかもしれれないけど、認めたくない『残酷すぎる真実』」を明らかにする。

例えば、目次にはこんなショッキングな見出しが並ぶ。

Ⅰ 努力は遺伝に勝てないのか

Ⅱ あまりに残酷な「美貌較差」

Ⅲ 子育てや教育は子どもの成長に関係ない

 

詳細に関心のある方は一読いただくとして、「経済格差」や「反社会的性質」といったものは、身体的・生理的な差(遺伝的な差)によってある程度説明がつくということ。また、こうした身体的特徴をもとに、人々がある種の価値判断をしてしまっていることを、計量分析をもとに紹介している。

 

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この表は、「こころ」と「遺伝」「環境」の関係を整理したもの。調査が双子をベースとしており、「環境」については、いわゆる家庭での教育といった、互いの性質を近づける「共有環境」と、学校生活といった互いの性質を遠ざける「非共有環境」に分かれている。

 

「才能」や「発達障害」「物質依存」といった項目は、遺伝によって説明できる割合が高い。要するに、遺伝の割合が高いほど、「努力は遺伝に勝てない」という、かなり酷な結論になる。子どもは勝手に育つということか。

 

同時に、「性格」や「社会的態度」「性役割」といった項目は、「非共有環境」で説明できるとする。その含意も、衝撃的だ。家庭における情操教育といったものはあまり意味がなく、学校やお友達付き合いこそが重要ということに他ならない。親ができることは、子供が悪い方向に走らないような環境を提供することに限られる。

 

著者の論を是とするか非とするかは読者に委ねられる訳だが、最後に、本書の冒頭の件に戻ろう。

人は幸福になるために生きているけれど、幸福になるようにデザインされているわけではない

 

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