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確かに中学生に読ませたい -「13歳からの「学問のすすめ」」&「現代語訳」

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いわずとしれた福沢諭吉の「学問のすすめ」。かつて岩波新書版(原文)を読み始めて、挫折した私だったが、齋藤孝さんの現代語訳ですっかり読みやすくなり、より身近なモノとなった。

もっと早く読み込んでおけばよかった、、、

 

明治初期のものとしては、当時の常識をバッサリと切り捨てるかのような相当先を行った議論。

国づくりの根幹に人づくりを置き、前半は国家と国民、学問との関係を中心に取り上げ、主権者としての自立の重要性を説く。今読むと、当たり前のように感じる部分も多いが、これが書かれた時代背景を考えると先進的と言わざるを得ない。逆に言えば、それだけ、本質的なことを取り上げており、日本が様々な苦難を経て、今があるということでもある。

「国」や「公」というものが公務員や国会議員の専管事項ではなく、「民」や「個」が果たすべき役割を強調している点が印象的で、今の時代にふさわしい発想だと思う。

 

後半は、人生設計の手法や判断力の鍛え方、人との接し方といった自己啓発的な側面が強い。衣食住を満たすためだけに働くことを「蟻」と同じと言い放ち、気概をもって「文明」(社会)のために働くことを訴える。特に人生設計においては、極めて合理的に、ビジネス的な思考(損益分析等)を提案するなど、また、人を社会的な生物と捉え、偏ることなく多様な人と分け隔てなく接し、演説・議論することの重要性も強調する。

こうした考え方も、「個」の時代と言われる現代と親和性が高く、読めば読むほど、今も色褪せない主張に驚かされる。

 

齋藤孝さんは、大人向けに現代語訳と、「13歳からの「学問のすすめ」」の2冊を執筆している。より低年齢層向けの「13歳からの~」は、現代語訳版と比べ平易に書かれ、解説的な要素が多くなっている。現代語訳は軽妙に訳されているので非常に読みやすいが、よりエッセンスにフォーカスしたいのであれば「13歳からの~」から読んでみるのも一案だ。

いつか子供たちに読ませたい一冊。

 

〔参考〕

以下、自身の備忘録を兼ね、「13歳からの~」から目次とメッセージ、キーセンテンスを抜粋しておく。

初編 学問には目的がある

学問のあるなしで、人生の差がつくことが多いんだよ

「賢人と愚人との別は、学ぶと学ばざるとに由って出来るものなり」

第2編 人間の権利とは何か

人はみな平等で同じ権利をもっているんだ

「他の妨げをなさずして達すべきの情を達するは、即ち人の権理なり」

第3編 愛国心のあり方

一人一人が独立してこそ初めて国も独立するんだ

「一身独立して一国独立する」

第4編 国民の気風が国をつくる

勉強したことは社会のために!

「我輩は国民たるの分限を尽くし、政府は政府たるの分限を尽くし、互いに相助けもって全国の独立を維持せざるべからず」

第5編 国をリードする人材とは

文明をつくっていくのは国ではなく僕たち民間人なんだ

「文明の事を行う者は私立の人民にして、その文明を護する者は政府なり」

第6編 文明社会と法の精神

国は国民を守り、国民は法律を守る。それが約束である

「国民は必ず政府の法に従わざるべからず。これまた国民と政府の約束なり」

第7編 国民の二つの役目

法律を守る。代表者を選ぶ。これが僕たちの役目なんだよ

「国民たる者は、一人にて二人前の役目を勤るものなり」

第8編 男女間の不合理、親子間の不合理

自分の考えで思い通りにしようとしてはいけないんだよ

「人たる者の分限を誤らずして世を渡るときは、人に咎めらるることもなく、天に罰せらるることもなかるべし」

第9編 より高いレベルの学問

僕たちには文明を進歩させる使命がある

「ただ蟻の門人というべきのみ」

第10編 学問にかかる期待

現状に満足するな!大志を持って勉強し、世界と競おう!

「学問に入らば大いに学問すべし。農たらば大農となれ、商たらば大商となれ」

第11編 タテマエに潜む害悪

地位や肩書ではなく、実力で勝負するんだ

「名分と職分とは文字こそ相似たれ、その趣意は全く別物なり」

第12編 品格を高める

品格が高まるような高いレベルの学問をめざそう

「事物の有様を比較して上流に向かい、自ら満足することなきの一事に在り」

第13編 妬みは最大の悪徳

一番やってはいけないのは人の幸福を妬むことなんだよ

「凡そ人間に不徳の箇条多しと雖ども、その交際に害あるものは怨望より大なるはなし」

第14編 人生設計の技術

ちゃんと計画を立てないと、人生もうまくいかないよ

「十分と思いし時も事に当れば必ず足らざるを覚ゆるものなり」

第15編 判断力の鍛え方

正しい判断力を身につけるには、学問が欠かせないんだ

「この信疑の際につき必ず取捨の明なかるべからず。蓋し学問の要は、この明智を明らかにするに在るものならん」

第16編 正しい実行力をつける

口で言うだけじゃなくて、ちゃんと実行しよう

「他人の働きに喙(くちばし)を入れんと欲せば、試みに身をその働きの地位に置きて、躬(み)自から顧みざるべからず」

第17編 人望と人づきあい

人づきあいは大切だから、積極的に友だちをつくろう

「人にして人を毛嫌いするなかれ」